ママチャリ2号機を内装3段(Shimano INTER -3)に換装する

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シングルスピードのママチャリ2号機にシマノ内装3段変速機(INTER-3)をインストールした。ママチャリは規格が完全に統一されていないのでパーツの互換性についての判断は自己責任である。不安を残しつつ、「チャレンジ」してみた。

ママチャリ2号機概要(シングルスピード)

フロント32T リヤ 14T ギヤ比2.286

シングルギヤのママチャリ/シティサイクルではテッパンのギヤ比。
町の中心地まではずっと緩い下りなので楽々、帰りは短い区間ながらきつめの上り坂があり、若干重く感じる。

シングルスピードの多段化

多段化には外装と内装の2種の方法がある。必要なパーツを調べたところ、ほぼ同額になるのでメンテナンスが楽な内装3段に興味を持つ。互換性がある範囲のパーツ選択なら基本的な整備知識・技術・工具があれば交換は可能。

  • 内装変速機(主に3段変速)
  • 外装変速機(7速または6速)

SHIMANOの内装変速機には他に5段、7段、8段、更に11段もあるがママチャリ・シティサイクルとは規格が違うので敷居が高い。
外装変速もメカニカルでそそられるが、シングルスピード車からの改造の場合、チェーンカバーが使えなくなるのが難点。

SHIMANO INTER-3S 内装3段変速機

内装式変速機のスタンダード

内装式の仕組みは、3速のうち、2速が直結、2速を真ん中に1速が軽め、3速が重めとなる。
シングルスピード車に軽いギヤと重いギヤが上下に追加されると思えばわかりやすい。

シングルスピードの自転車に内装3段変速機をインストールするのに必要なパーツを買い集めると2021年の実勢で14,000円程を要する。最初から3段変速の自転車を買った方が安いことは自明の理である。蛇足ながらシングルスピード車をスタンダードな6段ないしは7段にするのもほぼ同じコストがかかる。

そのまま内装3段にした場合のギヤ比

ママチャリ2号機はフロントが32T、リヤが14T、これをベースに内装3速化すると、
1速 1.675
2速 2.286 ノーマルのギヤ比
3速 3.109

好みのギヤ比を確認する

6速のママチャリ3号機はフロント36T リヤが順に14、16、18、21、24、28で、
1速 1.286
2速 1.500
3速 1.714
4速 2.000
5速 2.250
6速 2.571


拙宅の外装6段ママチャリはどちらかというと軽め設定のようで、速度を上げると6速で回りきることがあり、平坦路や緩い上りでは4速を使っていた。1-3速は軽すぎ。

自分仕様のギヤ比を決める

外装6速を試乗し、直結2速が2.000となるフロント32T、リヤ16Tがベストと考えた。
(どちらかというとゆったり乗れるギヤ比)
フロント32T、リヤ16T
1速 1.466
2速 2.000 ノーマルよりちょい軽め
3速 2.720
平地はママチャリ3号機の6速より重くなり、上りは2速と同等の軽いギヤ比。

先人たちのWEBや投稿動画でしっかり予習し、必要と思われるものを調達しインストールに臨む。
コロナ禍の影響で海外生産が滞っているらしく、ホイールは1か月待ちだった。

必要なパーツを揃える

完組ホイール(変速機組み込み済み)

アサヒサイクル アルミ26インチ SHIMANO内装3段リアホイール(ローラーブレーキ仕様) XB226
ステンレスリム仕様もある。

補修用として完組ホイールを売っているので非常に便利だ。
14Tの厚歯(3mm)スプロケット(シングルスピード用)とナット、座金が同梱されていた。

SHIMANO リアハブ SG-3R40

変速機取り付けに必要なマイナーパーツ

INTER-3の取り付けに必要なスモールパーツのセット。写真を撮る際にプッシュロッドを忘れている。ローラーブレーキを固定するステーやボルト、ゆるみ止めナットもセットされている。スプロケットがダブったりで、勝手がわかっているなら必要なものだけバラで揃えることもできる。

ローラーブレーキ

SHIMANO ローラーブレーキ BR-IM31RF 後ブレーキ 冷却フィン付

完組ホイールのINTER-3はローラーブレーキが標準、2号機はバンドブレーキだったのでブレーキユニットも調達しなければならず、本当は見せかけ重視でかっこいいフィンのついた上級モデルを使いたかったが、コロナ禍で中国の生産が滞っているらしく、ググっても「在庫なし」、「入荷未定」で中古はプレミア価格になっている始末、まったく見かけない状態なのでやむなくレギュラーグレードにした。購入したものには取付金具がついていた。取付金具無しで販売されているものもあるようだが、スモールパーツセットに含まれているので問題ない。

冷却フィン付きの裏側。

シフターとケーブル

SHIMANO SL-3S43J シルバー 1650mm シフトケーブル付

シンプルなピアノタッチレバーを考えていたが、レバーとケーブルを別々に購入するよりセットの方が安かった。ケーブルのサイズについてはひもを通してラインの長さを測り165㎝が妥当とした。

専用チェーンテンショナー

3S用チェーン引き金具(東京製鋲)

シャフト右のベルクランク側は回り止めの欠けが2面切ってあり、3S専用の長穴金具を用意しないと通常のものは使えないとマニュアルを予習してわかり、取り寄せた。

スプロケット(小ギヤ)

SHIMANO リヤ小ギヤ16T(スプロケット)

小ギヤは厚歯(3mm)と薄歯(2.2mm)があるが、基本、シングルスピードのママチャリ用チェーンは厚歯。3S用の小ギヤは14Tから16,18,19,20,21,22,23まである。私の場合、ギヤ比を軽くするため元の14Tから16Tに換えたが、わずか2コマ違いでチェーンの長さがギリギリになった。小ギヤの歯数を増やす際はチェーンの長さ不足、小ギヤの直径が大きくなるのでチェーンケースとの干渉を考慮した方がよいだろう。

厚歯:チェーンサイズ『1/2×1/8インチ』(内幅換算3.175mm)JIS3.3mmとされ、ピスト車や実用車、BMXに使用されており変速には対応していない。

薄歯:チェーンサイズ『1/2×3/32インチ』(内幅換算2.381mm)JIS2.4mm、外装6-8段用

厚歯:チェーンサイズ『1/2×1/8インチ』(内幅換算3.175mm)JIS3.3mmとされ、ピスト車や実用車、BMXに使用されており変速には対応していない。

薄歯:チェーンサイズ『1/2×3/32インチ』(内幅換算2.381mm)JIS2.4mm、外装6-8段用

インストール

スプロケット(小ギヤ)の交換

ホイールのハブ(ギヤユニット)にCリングで嵌っている14Tの小ギヤを外して16Tに換える。Cリングを外すにはSSTを使うか、先の細いマイナスドライバなどが使えるようだが、手持ちのマイナスドライバーでは隙間に入らず、転がっていた釘を使ってこじった。なお、リヤスプロケットを16Tに換えると径が大きくなり、チェーンの長さが不足する懸念もあったが、ギリギリながら何とか収まった。合わせてチェーンカバーとの干渉も無くて済んだ。

ホイールの交換と計量

BEFORE

ホイール+バンドブレーキ+シングルスピードハブ+タイヤ一式

2.6㎏

AFTER

ホイール+ローラーブレーキ+3速変速内臓ハブ+タイヤ一式

3.0㎏ +0.4㎏

※タイヤ、チューブ、リムテープは元のものを使用

シフターの取り付けと調整

シマノのサイトからマニュアルをダウンロードしてプリントアウトしておいた。ハブ左右の組付け順や注意事項がたくさん記載されているので必ず読みながら進めた方が良い。
シフターの取り付け調整にはマニュアルが必須

マニュアルに従い、シフトレバーをインストール。シフターを2速にしてベルクランクを調整し、変速が確認できたら各部の締め忘れが無いかを確認して作業は終了。

シフターに合わせた右ハンドルグリップの加工

グリップはシフター用に右が短いものが売られているが、ハンドル交換と一緒にグリップを替えて間もなくだったので買い替えるのはもったいなく、シフター分カッターナイフで切り詰めた。

組み付け完了

詳細はサービスマニュアルを参照されたい

問題点

新設シフトケーブルの処理

ケーブルの処理について、変速機用のワイヤーを新設するケーブルガイドは所有する2台のシングルスピードママチャリはいずれもコラムからクランク下までブレーキ用とシフト用の2本が通せるようになっており、特に心配はなかった。

チェーンカバー問題

スプロケット(小ギヤ)やクランクを替えることでギヤ比は割と自由に変更できるものの、ギヤの外径が変わるのでチェーンカバーが再利用できるかの検討が必要である。

余談ながら、外装6段への変更時は元のチェーンカバーを使用できなくなると思った方が良いので別途汎用カバーを探すか、チェーンガードの付いたクランクに変えるなどの対策が必要かもしれない。

ローラーブレーキ取り付け時の問題点

3S変速機のシャフトには回り止め加工の切り欠きが施されており、ブレーキユニットをホイールに固定する際の位置出しが難しい。

  • ブレーキの固定ナットを手締め(仮止め)状態でホイールをフレームにセット
  • フェンダーステー、スタンド、右側ベルクランクをセットしシャフトを位置決め
  • ローラーブレーキのアームを金具で仮止め
  • 薄スパナをフレームとブレーキの間に入れてナットを締める
  • チェーンの張りを調整
  • 各部を本締め

※追記:ハイパーローラーブレーキの場合はスペーサーのみでシャフトへの固定は不要

工具

薄スパナセット

高いものではないので持っておいた方が良い。
ローラーブレーキの位置が決まったところで写真のような状態で工具を差し込み固定ナットを締めることになるので薄スパナは必須。

BEFORE

AFTER

右後ろのベルクランクカバーとシフターに気づかなければ一見、何も変わらない。
 外装式変速機に比べ、ギヤの錆びや汚れ、変速機の可動部の調整や注油などの心配もなくほぼノーメンテで乗れるのが内装式の良いところ。ギヤ比を練ってから臨んだので狙い通りに快適になった。

追記:しばらく使用して

経過

後記:ハイパーローラーブレーキ(見た目のドレスアップ)

後記:BBとクランクの交換(目指すはクロスバイク風)

ブレーキレバー

ご注意

シングルスピードママチャリの内装3段変速化については自転車本体も補修用パーツもメーカーが互換性を保証しているわけではなく、このサイトを参考にされてもお持ちの自転車が同じように交換できるとは限りません。自転車整備には民間の整備資格もありまずが当方は無資格です。個人の趣味として楽しんでいるもので、時に互換性がなく購入したパーツが使えないようなこともあります。万一の場合、改造として販売店やメーカーの保証が受けられなかったり、補修パーツも本来は整備業者向けのものがネット上に流通しており自由に購入できますが、参考にして作業されてうまくいかなかったとしても当方は責任を持てませんので自己責任で作業願います。

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