ママチャリのBB (ボトムブラケット)オーバーホール

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ハブダイナモ交換時に分解したママチャリ1号機の前ハブの現状に、クランク、リヤハブをオーバーホールしてみることにした。

クランク部はBB(ボトムブラケット)と呼ばれ、ママチャリはシャフトとベアリングによって構成されており両側から「ワン」と呼ばれる球押しで蓋をするような形状になっている。クランクシャフトの両端はテーパーのついた四角い楔状になっておりクランクはナットにより勘合されている。

SST 専用工具

BB(ボトムブラケット)をオーバーホールするには少なくとも二つの専用工具が必要だ。

1.コッタレスクランクをシャフトから抜き取る専用工具

コッターとは「くさび」の事を言い、クランクの固定方法は古くはコッタード、つまりくクランクを固定するのに抜け止めのくさびが打ってあった。クランクを差し込んだら、シャフトに垂直に切った溝に沿ってクランクの横からネジの切られたピンを差し込んでナットで固定していたが現在はその固定用のピン(くさび=コッター)が無い(less)「コッター・レス」のクランク固定方法がママチャリをはじめとした一般的な自転車のスタンダードとなっている。
現在の主流はシャフトの先が「スクエアテーパー」(四角軸)と呼ばれ、四角穴のクランクを勘合し、ボルト又はナットで固定するようになっている。ママチャリからおおよそ中級くらいまでのスポーツバイクは「スクエアテーパー」(四角軸)だと思っていいだろう。

コッターレスクランク抜きとは「スクエアテーパー」(四角軸)にはまり込んだクランクをシャフトから引き抜く工具なのだ。とにかくクランクを外すにはこのSSTが無ければどうにもならない。

クランク脱着の作業工具について

クランクを抜く作業にはコッタレスクランク専用工具とモンキーレンチが2本あれば事足りる。
が、シマノのコッタレスクランク抜き工具に関して、19mm(又は3/4inch)、16mm(又は5/8inch)のスパナがあれば便利。作業に際し予習のためWEBをかなり巡回したが、モンキーレンチの使用ありきで工具サイズに触れているコンテンツはあまりなかったように思う。

私見としてはモンキーレンチは手持ちの工具が合わない時の「臨時代用」工具であって、しっかりとサイズを合わせないと大きな力をかけたときにナットやボルトを舐めてしまうことがあるのでできる限りレンチ、ソケット、スパナを使うようにしている。

スパナのサイズについて、16mm、19mmいずれもホームセンターのセット工具ではあまり見ないかもしれない、JISの自転車用規格が古く英国式インチサイズに由来するため、ママチャリやシティサイクル系の部品の一部が未だレガシーとしてインチサイズで規格されているのである。自転車用の前輪用ナット14mm、後輪用15mmはよく見ると自転車用を示す「B.C.」の刻印があり、ホームセンターでもねじ売り場ではなく自転車コーナーに探しに行くことになる。B.C.が表記された「自転車用」を買わないと使えない。
フロントシャフト径はB.C. 5/16 (7.938mm)ナットはB.C. 14mm(たぶん9/16inch 14.288mm)
リヤシャフト径はB.C. 3/8 (9.525mm)ナットはB.C. 15mm(たぶん19/32inch 15.081mm)
MTBやロードバイクはメートル規格が使われているものもあり、上位コンポーネントがママチャリと互換性が無いものもある。


上記の前後シャフトについて、仮にメートルJISであれば、それぞれM8 (シャフト径8mm)ナット13mm、M10(シャフト径10mm)ナット17mmとなるはず。。。

2022/3/22一部改定、追記

2.引掛けスパナ

ロックリングスパナ、引掛けレンチ、フックレンチなどいろいろな呼び方があるがレビューなどを見ながら旭金属工業製の「ASH 引掛スパナ45/48」を購入。鉄板打ち抜きではなくしっかりした鋳物でプラハン攻撃にも耐えうる丈夫な構造だ。左右のワン(ベアリングの押さえ)を止めるロックリングの切り欠きに爪を噛ませて使う工具。

3.グリス

SHIMANO製もあったがそこそこ評価の良かったものをセレクト。

まずは5年物の外装6S車ママチャリ3号から

ギヤ比はフロントが36TでリヤはSHIMANOの14T-28Tという非常にオードソックスなママチャリ。

ばらしていくとクランクを外した時点で埃や砂、何故か髪の毛なども巻き込んでいるのがわかる。

グリスが切れて錆だらけというほど状態は悪くなかったが、クランクを外してシャフトを手回しするとジョリ、ゴリッという感触があり、適当に組み立ててあるのか結構回転に抵抗があった。

ちなみにシャフトは3Tというサイズ(中心部に刻印がある)

作業の解説はたくさんのWEBで詳しく紹介されているし、手はグリス等で汚れているわで写真もさほど撮らずにさっさと進めてしまった。想像以上にグリスに細かい砂などが混ざっていたのでやはり時間が許せば年に1回くらいはメンテした方が大陸製の大量生産安物ママチャリといえど快適に乗れるに越したことはない。各部洗浄、グリスアップして球押しの調整を行うとシャフトが嘘みたいにスムーズに回るから笑ってしまう。組み立て工程ではさほど調整していないだろうし各部が機械工具でキンキンに締められているので最初のバラシにはプラハンマーの力を借りる場面も正直あった。

10年物シングルギヤ車ママチャリ2号のオーバーホール

10年もののシングルギヤ車(32T+14T)

フルカバーではないものの下までカバーされているためクランクギヤを外す際、若干パズル状態になって時間を食ってしまった。このチャリはいずれ、内装3段化、その先ではチェーンカバーを無しにして「こまし」な見かけのチャリにしてやろうと画策している。というかこのカバー、裏は塞がってないし、下が覆われているとチェーンに埃や汚れがついても簡単に掃除できないというデメリットがあるのだ。それに、そろそろバンドブレーキがキーキー泣き始めている。

例に及ばずいろいろなものが付着している。
こちらは右ワン部、特殊な工具が必要で、シャフト部をスポーツタイプのカセットに換えるにはこの、右ワンを外さないといけないのだが固くはまっているようで皆さん苦労されている。オーバーホール時には左側からシャフトが抜けるので右ワンを外さなくてもメンテは可能なので3台ともそのままで作業した。

案の定、バラす前にシャフトを回すとゴリゴリ感と強い抵抗があった。

10年物も何とかグリスは残っているものの、それなりにジョリジョリとした異物が混入しているのが指に取ってみるとわかる。

パーツクリーナーと歯ブラシでベアリング部を洗浄してグリスアップして組み付ける。

シャフトは5T

15年物シングルギヤ車ママチャリ1号のオーバーホール


同じくシングルギヤ(32T X 14T)
さすが、一応日本メーカー製、各部をバラす際、バカみたいに締められていなかった。あるいは市のシルバーセンターの整備済み中古車だったので丁寧なオーバーホールがされていたのかもしれない。

汚れはさすがにコッテリ、しかしながらジョリジョリしながらもシャフトの回転抵抗はそこそこ調整されており強い抵抗感はなかった。

他の方のWEBのようにグリスが切れてベアリングやシャフトの交換を必要とするほどは傷んでいなかった。むしろ状態は良い。

これも5T

1日半かけて頑張った3台分のBBオーバーホール、作業した本人は漕ぐのが軽くなったように思うのだが、残念ながら家族は「ん~そうかな?。。。」
まぁそんまもんさ、車も自転車もイジリは自己満足なんだ。

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