BBをカートリッジ式に交換してから1年半、6,000km使用、クランクにガタが出てきたので同じカートリッジを再購入したものの、ガタの原因はサイズが合っていないのが原因かと買い直して検証してみる。
改造は自己責任
まず、シティサイクルのBBをカートリッジタイプに交換するという行為は自転車メーカーも部品メーカーも保証外の「流用」なのですべては自己責任での「改造」であることを前提として話を進めたい。今回使用しているBBカートリッジ、SHIMANO BB-UN300は汎用を目的としておらず、本来はMTB用のコンポーネントシリーズを構成するパーツであり、サイズ、仕様はそのクランクセットに合わせて作られているものであって使えそうなサイズを「流用」するという行為であることを強調しておく。
SHIMANO BB-UN300 D-EL 127 68 (BC1.37)
以下の2台のBBを同じ品番のカートリッジに交換した。
ママチャリ1号機のシャフトは5T(幅128.5mm)BBシェル幅 68mm
ママチャリ3号機のシャフトは3T(幅126.0mm)BBシェル幅 68mm
調べたところ、適合しそうなBBカートリッジはシャフト幅が近い127mmのSHIMANO BB-UN300 D-EL 127 68(BC1.37)を購入した。
BB-UN300は、ママチャリのBBカートリッジ化によく使われており、支障なくインストールできた。チェーンラインも自然で、各部の干渉も見られずクランクの回転が滑らかになって成功という結果でくくった。作業的には元のカップアンドコーンをバラす方が大変なのだ。特に右ワン。
クランクのガタつき
原因はベアリングと左ワンの隙間
毎日、片道10kmの通勤に使う1号機はBB交換から1年半、概算で6,000Km使っているが最近クランクのガタつきを確認したので更新すべく同じものを購入し交換したのだが、外したものを検証すると、左側のベアリングが左ワンにピッタリ嵌っていなかったことが判明。
ガタの出たBBカートリッジの検証
クランクのガタつきのひどい1号機から外したBBカートリッジの左ワンはフランジ一杯まで締めこんでもベアリングが奥まではまっていなかったことがわかる。同時期に交換した3号機もわずかにシャフトのガタが出ているので追って点検したい
がたつきのせいか、左ワン側のシールは破れ、シャフトには擦れた跡も見られ、水分や埃等が中に入って内部に錆びを発生させている。
ベアリングがはまっていなかった部分には錆が出ておりベアリング幅の半分以下、4mmしか嵌っていなかったと思われる。ベアリングの支持が悪くガタの原因になったかもしれない。
明らかに本体とベアリングの隙間が広くなっており、その間から中のグリスが出ていると思われる。脚の力は半端ないので漕ぐうちにガタつきを誘発したと想像でき、ベアリングがワンにきちんとはまっていないことが耐久性を悪化させた原因と思って間違いないと思う。
BB-UN300の左ワンのフランジ有無について
使用したBB-UN300 D-EL 127 68 (BC1.37)は左右ワンともにフランジがあり、BBシェルを両側から蓋をするような形状になっているが、他のサイズには左側にフランジが無いものがあるようだ。
フランジがなければ、BBシェルの端面より奥にワンがねじ込めるのでベアリングとワンを勘合させることが出来るかもしれない。
いずれにしてもチェーンカバーを使う限りは「-K」でスペーサーを使った方が良さげ。その場合は左ワンにフランジがあった方が良いことになる
SHIMANO BB-UN300-K D-EL 127 68 (BC1.37)
ガタつきを検証後、シマノのHP他、改めてググってみると、品番に「-K」が付いているものがチェーンケース付き用を示しているとわかり、新しいのを買う前に気づけば良かったとやや気まずい状況。
- BB-UN300「-K」はチェーンケース用(軸長は7サイズ)
- BB-UN300「-E」はフロントディレイラーのステー共締め用(ただし軸長123/68のみ)
※いずれも2023年1月現在のSHIMANOのHPラインナップ
品番に含まれるその他の英文字はSHIMANO製のFC(フロントチェーンホイール)のチェーンラインに合わせた右側の出しろの違いらしいが、MTBとロード用で3種類のチェーンラインがあり、BBカートリッジのラインナップが複雑になっている。
「-K」の付く品番とスタンダードの違いについて
実際に「-K」の付く品番のBBカートリッジを購入し「-K」のつかないものと違いを検証してみた。
「-K」は本体が6mm長い
上が新品の「-K」のつく品番、右ワン側の本体。本体が6mm長い。
通常品番の左右ワンを組合せるとフリンジの間は70mm
自転車側のBB幅が68mmといっても断面にバリがあるので左右に1ミリくらいの余裕を誤差として、チェーンカバーのステーが2mmと考えればベアリングが4mm浮いたと推定できる。
「-K」のフリンジ間は76mm
「-K」ありなしのサイズ差が+6mmというのが何とも言えない差で、概算で2mm余ることになるのでどっちを使っても68mm幅シェルにはピッタリではない。。。
2号機はホローテック化のためシェルをやすりで削ってしまったので検証できないが不運のシェル幅70mmなら「-K」がぴったり合うのかもしれない。
「-E」について
SHIMANOのEタイプFD(Front derailleur)
のプレートをBBに共締めするための仕様とのこと。リヤサスペンション付きのMTBなどの為に用意されているようだ。
このディレイラー、シートチューブやフレーム形状がが異形でクランプ型の固定具が使えないママチャリに使えそうだな?。。。
残念ながら私は外装多段変速にあまり興味がないが。。
BBカートリッジ探しはトライアルアンドエラー
BB-UN300を例にとると、チェーンカバーの有無で「-K」かノーマルか、元のカップアンドコーンの軸の長さで見合った軸長を当てはめて「買ってみる」しかないと思う。
チェーンラインは手持の右クランクをはめるまでわからないのでこれまたトライアルアンドエラーになる。
- チェーンケースの有無
- 軸長
- 互換表はチェーンラインがベースでSHIMANO製品のためにあるので参考にならない
SHIMANOの互換表(参考)
BB-UN300「-K」を組み付ける
チェーンカバーステーを右ワンで共締めしてから左ワンを装着するとわずかに1mmほど浮いてそれ以上締めこめなくなってしまったのでベアリングはワンにしっかりはまっていると考えられる。
SHIMANOにBB用のスペーサーがあるので入手してみることにする。
メーカーに互換性を問い合わせるのはお門違い
だと私は考える。
中国製であろうと日本製であろうと、シティサイクルの部品規格は雑多なうえ無印のものが多い、パーツの互換性については製造メーカー、部品メーカーに問い合わせても保証外の質問となるので親身に感じなかったり、思ったような回答が得られないからと苦情をぶつけたり、苦言を世間にぶちまけるのはクレーマーでしかないと思う。
- 流用は保証外(メーカーはフィッティングに回答義務なし)
- 流通している部品は本来専門業者向け
また、一部ホームセンターやECなどで手に入る部品は本来は業販用で、補修パーツとして修理・販売専門店に流通するものが市中に流れているのでメーカーとしてもやむなく一般ユーザーの問合せに対応しているのであろうことを考えていただきたいと思う次第。
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