ママチャリ3号の外装6速リヤハブをオーバーホールする

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どこの街にも必ずある大手チェーン店ブランドの5年物ママチャリ、低価格車が「変速付き」を謳い文句に高級感を醸し出す不動の定番、「『シマノ製』外装6速車」である。わずか5年、プラ製のスポークプロテクターの劣化が激しい。軋む様な異音が気になりクランクBBのオーバーホールをしたのでリヤも気になっていた。

WEBを徘徊し、予習を十分に行ってオーバーホールにチャレンジすることにした。プロテクターが機能していないと万が一チェーンが内側に外れるとタイヤがロックするような事態になることがあるようだ。事故や怪我に繋がりかねないし、ハブのグリスの状態も確認することにした。

補修資材の準備

1.ベアリング球

諸氏のWEBではグリスが切れて錆びている様子も多く、バラしたまま部品調達するのは面倒なこともあり、最悪の場合を考えてベアリング球を買っておいた。

2.シャフト

派手な転倒歴があったので万一の曲がりに備えて、念のためシャフト一式を買っておいた。

ハブの品番はRHーIM11、ググるとシャフトセットだけを入手できる

3.ローラーブレーキ専用グリス

少量で使い切りサイズの10gのものもあったが、値段が変わらないので100g入りを調達。
メーカーでは定期的にグリスを補充するように促しているが、もちろんノーメンテだったのでバラすついでにオーバーホールすることにした。
一方で、ローラーブレーキのメンテナンスを汎用グリスを使用しているWEBが多いが、ドラムとシューの間で摩擦を起こす作用や耐熱性を考えると高いものではないので専用品が望ましいと思う。

4.スポークプロテクター

スポークプロテクターはプラ製とPE製の2種があり、PE製の方が若干高いが、耐久性を考えるとPE製が正解だと思う。14-28T用を調達。

ギヤセットはMF-TZ20、TZ500が後継品番

ツール

1.ボスフリー抜き

外装変速機の付いたママチャリのリヤハブのメンテにはこれがないと始まらない。ボスだけに作業でもラスボスとして立ちはだかってくる。ママチャリ系はギヤとフリーが一体になっており、ホイールにねじ込まれているのでこの専用工具で外さないとハブのメンテができない。ただし、本格スポーツ車のとママチャリ、シティサイクルでは同じ外装変速でも全く互換性が無いのでこのツールはママチャリをバラす私のような「物好き」用かもしれない(笑)
拙宅では今のところ唯一の変速車で、それもママチャリ用のシステムなのでこれっきりのつもりでシマノ製の1/3価格で買える台湾製のものを調達した。

2.薄型スパナセット

ダブルナットで締めてある球押しを緩める際に必要な工具。よく、プレビューで、「打ち抜きのものは力を入れると強度が足りずに曲がった」などと難癖を書く人もあるが、あくまでもダブルナットの回り止めに使うもので本締めなどはきちんとしたスパナやメガネレンチを使えば問題ないはず。これを工具の代わりにして固いものを緩めたり、本締めしようと思う人の気が知れない。もとよりツーリングの携帯用工具とするならその限りではないが、そういう人たちは専用の携帯用工具を持っていると思われる。

では、オーバーホール開始

と言ってもWEBには作業を説明してくれる懇切丁寧なページがゴマンとあるので流れだけ。

外したローラーブレーキはグリスが流れてかなり汚れていた。

やはり、グリスが切れかけていた。

あらかたバラしてシャフトを回すとゴリゴリしていてかなり回転抵抗があった。

回すと感触はゴリゴリでかなりの抵抗がある

ボスフリーを外す

専用工具を差し込み、大きめのモンキーで左に回して緩めるのだが、構造上自転車を漕ぐと締まる方向になっているのでとても固い。要するに漕ぐ足の力で締めこまれている。

シマノ用の安価なものを調達

脚立にホイールをくくりつけて足でじわっと緩める。腕ではびくともしなかった。

ホイールを脚立にくくりつけて足技を使う

ハブ付近はハブからにじみ出たグリスに様々な汚れがついている。

プロテクターは朽ち、ハブまわりはかなり汚れている

ハブのグリスアップ

ハブ内はグリス切れは起こしていなかったが、ホイルを傾けるとベアリング球がコロンと落ちてきた。このまま放っておいたら錆びる寸前と言える。ベアリングは、パーツクリーナーで汚れを取って拭きあげたら特に傷みは無いと判断して新品を使わなかった。

グリスが切れかけでバラすと球がポロポロ落ちてくる。

ハブ内の古いグリスをふき取り、定石通り新しいグリスを充填してベアリング球を片側9個づつ装填してシャフトを戻し球押しの調整を行っていく。古いグリスは一部が溶けた飴のように固くなっていた。組付けにはこれでもかとグリスを付けるものだからぐるぐる回していると余分なグリスがはみ出してくる。後々埃やゴミを呼ぶだけなのでふき取っておいた。また、シャフトは歪みもなくきれいだったので用意した新品は未開封で古いものをそのまま使った。オーバーホール前、スタンドを掛けて後輪を回すとギヤが僅かに振れていたが、フリーの軸が歪んでいる模様、漕ぐときにチェーンが外れるほど振れているわけではないし、自転車の走行に影響は無さげ、ギヤ一式を交換するほどでもないと考えて見逃すことにした。

球あたりを調整

ボスフリーは、外したあと、チェックするとフリー回転部分にゴリゴリっとした引っ掛かりを感じたのでボス抜きを差してぐるぐる回しながらパーツクリーナーで古いオイルを洗い出し、新しいオイルを表裏両方からたっぷりとしみこませて流れたオイル分を拭き取っておいた。この部分にグリスを使う人もあるがグリスが経年と混ざった汚れが固まってフリーの爪が固着して用を為さなくことがあるのでグリスはNGらしい。また、ボスフリーをばらしてメンテするにはさらにSSTが2つばかり必要だが、ツールよりボスフリー新品の方が安いのでわざわざ工具を買うならボスフリーの新品を調達しよう(笑)

スポークプロテクターの取り付け

スポークプロテクターはギヤの裏側に勘合するようになっているのではめ込んだら左に回してロックさせるが、手でギヤを握ってもなかなか力がいるのでボス抜き工具を差し込んでひっくり返し、モンキーで固定して足で支え、車のハンドルよろしくプロテクターを両手で左に回せば嵌ってくれる。

ローラーブレーキのメンテ

とことんバラさず、ドラムだけ外した。シューはC型のリングで止まっているので簡単に外せる。グリスと汚れが混ざったものが周囲にこびりついているので目につく限りふき取って新しいグリスを充填しておいた。

事件!?

外した古いスポークプロテクターを踏んづけてしまった。見事に粉砕。

朽ちたプロテクターは煎餅なみに脆い

完成!!

各部を組付け、ブレーキとディレイラーの調整を行い完成。
クランクのBBオーバーホール効果はさほど何も感じなかったが、リヤハブのオーバーホールは明らかに漕いだら軽いのを体感できた。大げさだがギヤ1段分くらいの違いを感じる。

ここまでのメンテが悪く、ギヤは一度錆を出してしまった。。。

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