車の天井の制振・断熱 施工編(1)SEKISUI レアルシルト 制振材

マイカーは黄色ナンバーの売れ筋ワンボックスである。夏場の炎天下はエアコンが効いていても焼けた天井からの熱気が顔の高さくらいまで滞留する。渋滞や信号待ちでは日陰に入りたいと思うし、アイドルストップの時間も短くなる。また、梅雨時期は雨が天井を叩く音もなかなかの騒音だ。

約1.2m x 2.2m

制振材のSEKISUI「レアルシルト 」は固いので数日に分けて事前にカットした

車の天井裏に制振材、断熱材を仕込むには腰から上の内張を外すという厄介な作業を伴い半日以上の時間を要するので土日以外の連休が続くGWをターゲットにした。作業日前日の午後、下準備としてサンバイザーやミラー、ピラーなど外し、ドアを閉めて置ける程度まで準備した。


天井裏にはシール一枚貼られていない、上級グレードにはライニングにシンサレートが貼られているが太陽をいっぱいに受けて暖まった空気は逃げることなくこの空間で熱さを増し天井に湯たんぽを載せたような状態になるわけだ。また、この状況では雨音が賑やかになるのは想像に難くない、世の中の殆どのミニバン系の実情だ。

天井の制振・断熱施工にあたってはアルミテープを準備しておいた方が良い。殆どの車種で天井のライニングに室内灯、アンテナの配線やリヤウォッシャーのホースがアルミテープで固定されている。樹脂テープの熱などによる経年劣化を嫌ってかほとんどの車でこの場所にはアルミテープが使われていると思われる。

配線の固定、テープの貼付位置がわかるようにライニングには印が付けてある。

制振材を切りながら貼るのは効率が良くないので事前に大小の短冊に切り分けておいた。天井裏の写真や梁間の寸法もWEBで調べる事ができたのでおよそ面積などを考慮しながら貼付位置を落書き程度に紙に書いておいた。出たとこ勝負でランダムに貼るよりシンメトリーに施工した方が気持ちいい。当日、天井のライニングを摘出したらシリコンオフで全体を拭う。

拭いていると外板塗装のミストが付着する
ローラーで圧着

梁はコーキングのようなもので天板に点付けされており、それを固定しようとコーキングボンドなどでガッツリ接着する人も見かけるが、メーカーがあえて溶接しないのは車体のよじれなどを考えてのことだと思いやめておいた。車の構造って何も考えていないようでいろいろな計算がされており熱の収縮で歪むとか無用な補強は全体のバランスを崩す事があるのではないかと思うのは素人考えだろうか?

制振材を貼ってコーヒータイムとした

車の天井の制振・断熱材料について(その3)

東レ ペフ

初めて使用

断熱にはなかなか期待できそうなキメの細かい発泡樹脂。軽いので天井の施工に向いている。厚さは5mmや10mmなどがあり、某巨大SNSの施工例を見て天井に使用例の多い10mmをチョイス。無論厚い方が断熱効果を期待できる。気になったのは耐熱温度が70℃である事。この辺、自分で計測していないがググッてみると天井は盛夏でそのぐらいらしいので大丈夫と踏んだ。選択の理由は、粘着剤が塗布されており過去に使用したチップウレタンやシンサレートのように接着剤を使用せずに施工が楽な事。

粘着剤がかなり強力なので貼り直しはきかない、Bピラー部は梁の根元が補強のため三角なので東レペフは当初一枚だったが真ん中で分割して左右から貼った。

平成から令和に変わるGWの10連休に施工。正味の炎天下を体感できていないが、夏日を報道された晴天昼間のチョイ乗りでも車内が蒸すことは無くエアコンを入れるほどでもなかった。

多少の修正を要したが某巨大SNSでサイズを細かく表記されていたので事前に準備出来たのは施工時間短縮に寄与した。先人に感謝である。

車の天井の制振・断熱材料について(その2)

シンサレート

3M シンサレート

シンサレートはどちらかかというとウインタースポーツウエアの保温断熱素材というイメージが強いが、案外自動車用としても使われている。高級グレードやサウンドパッケージ、あるいは上級車の天井の頭上部分やドアの内張に吸音材として使われている事が多い。いかんせんニードルフェルトなどに比べてコストが高いのが難点だが、自動車メーカーが採用するだけの事はある。軽くて断熱・吸音2つの機能を持っているので多少コストが張っても十分使う価値がある。前車では天井裏に制振材の上から鉄板に接着剤で貼り付けて断熱材として使用したが今回は断熱は他の素材に委ねて吸音材としてライニングの上に載せた。

各パネルの裏に貼り付けて吸音・断熱に使用、市販車にも頭上に使われている事が多い
クオーターパネル部
リヤハッチのライニングとして
Bピラーのライニング

どれくらい効果があるかと言われると数値測定をしているわけではないので体感ということになるがエアコンの効きが良くなり車室内が静かになるのはわかる。

車の天井の制振・断熱材料について(その1)

3MのシンサレートとSEKISUIのレアルシルト

車の天井の制振・断熱(デッドニング)はすでに2台の施工経験がある。そもそもの目的はオーディオのために興味本位ではじめたこと。制振、遮音、吸音が目的で断熱は2時的産物だった。

1台目、大建工業の遮音シート全面貼りとホームセンターで調達したチップウレタンを貼る。思いのほかロードノイズが減り、後席は寒いくらいエアコンが効くので驚いた。天井を叩く雨音も静かになった。ただし、この時に使ったボンドG17は安くて使いやすいが施工後しばらく車内に溶剤の臭気が残存したのがちょっと残念であった。

2台目、レアルシルトをカットして点貼り、シンサレートを全面に貼った。ハイブリッド車だったので断熱はアイドルストップに大いに貢献した。接着剤はセメダインスーパーXを使用。

前回までの経験を参考に、SEKISUIのレアルシルト8枚セット(30x40cm、t1.9)と3Mのシンサレート(150x100cm 、t13.0)を1枚を調達。

SEKISUI レアルシルト

制振材としては 日東電工の「レジェトレックス」の方が有名で価格も安くシェアも高いが、高温になる天井には基材(ブチル?)の耐熱性に若干問題があるのと経験上、縁をアルミテープなどで止めておかないと端から剥離することがある。レアルシルトは施工面積の30%、レジェトレックスは70%とされているのでレジェトレックスの方が重量が嵩むのが難点。施工面積当たりのコストは約1.5倍だが「レアルシルト」をChoice。

レアルシルトの下ごしらえ

レアルシルトは経験則からいうと面でべったり貼らなくても点で細かく貼れば十分効果があるように思う。天井のリブは10cm幅5本に4本の3cm幅が挟まれる構成。メーカーのスペックでは面積の30%程度で制振機能がカバーされるとされていので計算上5枚半分ほどを適宜短冊状にカットして満遍なく貼る。天井には梁などがあるので断熱材料は採寸してから切り出すが、制振材は事前にカットしておいた方が効率よく綺麗に貼り込める。

制振材を貼り付けると叩いたら「カンッ!」と響いていた鉄板が「コツッ」と鈍い音に変わる。雨の日の「バラバラバラバラ〜♬」という騒音が「ポツポツパラパラ♫」に収まり、流石に無音とはならないが、ラジオが聞こえ難くなるような事はなくなるのでオーディオや会話の音量を上げる必要はない。

なお、天井に制振材としてブチル系のレジェトレックスなどを使う人も多いが、デッドニングを生業としているサイトを見ると、ブチル系は高温に弱く天井には向かないという事で材料から外しているところが多い。

夏、車の天井が焼けてエアコンが効かない。

1.2m X 2.2m

我が家の車、黄色ナンバーのワンボックスである。あえてNAにしたが、見晴らしも良く非力を上回る使い勝手の良さと取り回しが楽な事で気がつけば2回目の車検を迎えていた。ただ、ずっと気になっていたのは真夏になると天井がカンカンに焼けてエアコンが効かないのが難点だった。炎天下では天井が焼け、内張りが熱を持ち首から上がモワッと暑い、後席は吹き出し口がなく、天井に加え三方を断熱に乏しい鉄板や熱を持ったガラスに囲まれて暑くてたまらない。

真夏でも快適にドライブできるよう天井の断熱をすべく暑くなるまでに重い腰をあげることにした。