
スタンダードローズにはまず、台木の準備が必要
近くの河川敷から挿し穂を切り出して挿し木した
挿し木が着けば第二段階の接ぎ木に進める
台木の準備
ノイバラの台木
WEBで調べてみると、野山や河川敷などで自生しているノイバラのシュートを掘り出すか切り出して挿し木して台木を用意するらしい。根から掘り出すと植え替えた時に定着しやすいが、「癌腫病」というバラには厄介な病気に注意が必要らしく、概ね枝を切って挿し木で準備するのが一般的な方法らしい。
ノイバラの種を入手して一から育てるという方法もあるが、スタンダードの台木に使えるまで2,3年かかるようなので挿し木が一番近道だと思われる。
近くの河川敷で台木を採取

大きな川の河川敷であれば水辺に近いあたりにノイバラは自生している。
採取するのはいいが、万一窃盗や何かの法律でお縄になってはいけないので念のため管轄の国交省河川管理事務所に確認してみた。
「個人的なものなら掘り上げての持ち去りも問題ない」との回答。ただし、「希少動植物に該当するようなら環境省への問い合わせが必要なこと、河川敷内でも自治体などが管理する公園はそのルールに従っていただきたい」との丁寧な回答があった(回答は要約)
ノイバラは春から夏にかけては花が咲いているのでわかりやすいが、秋から冬にかけては赤い実(鳥が食べてなくなっていることもある)が目印になる。
大半のノイバラはトゲがあるし、蛇や蜂など予期せぬ被害もあるので採取には怪我をしないよう長袖や手袋などそれなりの服装と装備が望ましいとは思う。
1㎝~1.5cm径で直立したシュート、緑の若木ではなく2年目くらいの充実したものが狙い目らしい。


台木は、秋から冬に挿すのが一般的らしいが、思いついたのが5月のことなので欲張らずに2本ほど見繕って切ってきた。
花や蕾、トゲは全て切り落とした。小枝や葉は先端部を残してカット、切り口は傷み・乾燥防止に「トップジン」を塗布した。
一応バラの挿し木の手順で枝をメネデール溶液で水切りし、半日くらい漬けておいた。
用土は今回より、挿し木の根出し促進に良いといわれる「ミリオン」を赤玉土の小粒に1割ほど混入した。

2023.5.6 台木の挿し木

4号ロングのスリット鉢を用意し、切り出してきた枝の切り口をナイフでもう一度切り直し、ルートンを付けてバラの挿し木と同じように挿した。
台木は丈夫な支柱に麻ひもでまっすぐになるよう縛って先端を動かないよう固定。
春(初夏)に挿している例をあまり見かけないのでどうなるかわからない。葉を残せばよいのか丸裸にすればよいのかわからなかったが、若干残してみた。
残した葉が枯れたら失敗の目印になる。
他のバラの挿し木と一緒に東側の明るい日陰で見守る。
2023.5.21 台木の枝から新芽が出現
この時点で挿してからまだ2週ほど、発根しているか未確認だが、枝の中ほどに新芽を発見。
台木は枝が太くて長い分、枝の持つ水分や養分も十分なはずなので挿し木が着いているとは期待できない。とりあえず、芽はナイフで削り取ってトップジンを塗布しておいた。

2023年6月11日 鉢底から根を確認
挿してから約一ヵ月を経過し、鉢底のスリットから根が出現、発根を確認


発根の状況と鉢増し
2本のうち、一本はまだ鉢底から根が見えていなかったのでそのまま様子を見るつもりだったが、作業中に支柱ごと倒れて抜けてしまい、わずかに出ている根の一部がちぎれる始末。ダメもとだがこのまま一緒に鉢増することにした。用土はホームセンターで売られている普通の草木用の培養土と挿し木した際の赤玉土を混ぜ込んで使った。赤玉土にはミリオンも配合してあるので以降も効果を期待したいところ。



根が出てきたので今後は鉢が乾いたら水やりという発根を促すサイクルに変え、梅雨明けくらいには日向に移そうと考えている。
2022年6月10日 日向へ移動
日向へ移して半月ほど、ちらほら新芽が出ており、ここからは来春、接ぎ木にチャレンジするまでは成長するに任せておこうと思う。

2022年7月12日 一本が枯れる

もとは発根の良かった太い方の枝葉が枯れた。
2本とも同じ条件で様子を見ていたので原因は全く不明、土の中はネキリ虫や、コガネの幼虫も居らず、癌腫病も無い。引き出すと根はあったが生気が感じられないので枯れてしまったと考えられる。
台木づくり、根付くまでに時間がかかるが、挿し穂は河原へ行けばいくらでも採集できるのでボチボチやるしかないのである。残った方、来春予定している「接ぎ木」ないしは「芽接ぎ」についてはしっかり根付かなければもう一年育てた方がいいかもしれない。
2023年8月7日
残った一本は新芽が増えたり、わずかなながら成長が感じられる。

挿し木のツール
接ぎ木チャレンジ
「Old Brush」を接ぐ
秋に河原から根ごと採取した台木には「ICE BERG」を接ぎ、春に挿し木した台木には丈夫な「Old Brush」をチョイス。
挿し木定着100%、植えっ放しでも全く病気知らずでほぼ一年中花を持ち続ける丈夫さを買ってのこと。挿し木の台木でも十分育ってくれそうだと踏んだ。

2024年1月3日 接ぎ木

「Old Brush」は地植えが4株ほどあって冬剪定でバッサリ切るので穂木は選び放題。穂木一本に付き、芽が外向きに90°で上下2芽を2本接ぐ。
全部芽が出たら4方向に向く計算をしてみたが、若干欲張ってしまったように思う。
接ぎ木テープを巻き、ビニール袋をかぶせる。
接ぎ木テープは初めて使ったが、よく伸びてなかなか扱いにくい。

2024年2月3日 芽が出始める

接ぎ木から1か月、芽が出てきた。
まだまだ台木と活着しているかはわからない。
挿し木でよくある、穂木の持っている養分で芽吹くこともあり、根が出るまでに養分を使いきって枯れてしまうパターンもあるので安心はできない。
2024年3月2日 芽が大きくなる
芽がかなり大きくなった。
気温が緩む日もあり徐々に成長している。
地植えの親株の新芽もよく似た状態なので期待が持てる。


同じ日の親株。
挿し木⇒地植えから2年目
「Old Blush」はとにかく生育が旺盛。
一月初旬にバッサリ剪定して葉も取って丸裸だったのが、さすがに地植えの親株の方が芽の成長は早い。
2024年3月7日
気温はまだ3-12℃前後が続くが、日照があればそれなりに暖かく感じるような日々が続き、新芽の成長が著しい。
ここまでくれば接ぎ木が着いているんじゃないかと期待が大きくなる。
啓蟄を迎え、春が近い。

2024年3月28日

見ての通り、だんだん元気がなくなってきた。
残念だが、出芽は接ぎ穂の持つ養分で賄われたようで、台木との癒合は成功しなかったと見受ける。
2024年4月30日
接ぎ木テープをほどいて接合部を確認したら、残念ながら癒合しておらず接ぎ穂は2本ともポロリと外れてしまった。


台木も接ぎ穂も接合部が乾燥して枯れた状態である。
2024年5月6日 観察終了
台木は根が残っていたので接ぎ木の鉢のままそのまま置いてあったが、新芽が出現する様子がなく、上から徐々に切断、根元まで幹がスカスカに枯れていたので処分した。
春に切り出して挿した台木はすぐに接ぎ木に使用せず、元気な状態まで充分育ててから使った方が良さげだ。川原から根ごと掘り出したもののように太い根が無く、幹から細い根が無数に出ている状態だった。接ぎ木と挿し木を同時に行う「接ぎ挿し」という方法があるらしいが難しそうだ。

未完ながら「完」