ツルバラ「羽衣」の挿し木(2022年春挿し)

3年にわたって失敗した。ツルバラ「羽衣」の挿し木に成功。
春の挿し木の経過

4度目(4年目)の挿し木チャレンジ

挿し木の手順

1.切った枝を「メネデール」溶液に2~3時間浸す(水中で改めてカットする)
2.挿し穂を水揚げしている間に用土(小粒の赤玉土)を水に浸し土に十分に水分を吸わせておく
3.新品またはアルコール等で十分に消毒した鋭利な状態のカッターナイフ等で枝を斜めに切る
4.ルートンを軽くまぶし、用土に挿す(ルートンが取れないよう別のもので穴をあけること)
5.挿し穂は風などで揺れないよう用土をしっかりと押さえておく
6.東側など朝日が当たる程度で日中は明るい半日蔭で水を枯らさないようにして養生する
7.適度に忘れること

挿し穂は2節半

挿し穂はその年花を咲かせた元気そうな枝を選んで2節半でカットし、5枚葉を一組残す、葉が大きい場合は半分ほどに切って蒸散を抑制する。もう一節分は葉を取って土に埋まるようにするとそこから根が出やすい。太さは10mmくらい、鉛筆ほどが付きやすいとのこと。

2022年5月8日(挿し木当日)

私の場合他の庭作業と並行して午前中に用土を水に浸しておき、挿し穂を切って水揚げ、午後からポットに施すのが慣例

元気な枝なら切ってしばらく放っておいてもついてしまうのだが、水揚げの際、切った枝を水中で切り直す「水切り」するなどできる限り「挿し木に良いと」思われることをするのが保険かと思う。つかなかった時も選んだ枝の力が無かったと言えるようにしておきたいもの。

挿し木の用土については鹿沼土、または赤玉土の新しいもの(無菌)を使うとあるが、挿し穂が固定しやすい赤玉土を使っている。

2022年6月5日 ポットの底から根が出たのを確認!

挿し木から約一ヵ月、一部黄ばんでいる葉もあるが、この間に茎や葉が枯れなければ挿し木が成功している可能性が高いと思っていい。鉢上げの段階では挿した4本とも根が出ていた。
上手くいかない場合は、1-2週間で茎が黒くなったり、しわしわになるのでその場合は深追いせず、夏剪定の間に挿し穂を取ってチャレンジした方が良いと思う。

今年もダメかと思ってポットを持ち上げたら根が出ていたので速やかに鉢上げした。

ツルバラ「羽衣」の挿し木の鉢上げ

1.用土は草木の培養土4:赤玉土3:ピートモス3で用意
2.鉢はバラに良いとされるスリット鉢の4号(ロング)
3.バラは縦に根を延ばすらしいので用土は底から十分に入れて穂は浅めに植える
4.真夏を越すまでは挿し木の養生を行った半日蔭で土が乾いたら潅水する

※根は弱いのでできるだけ触らないように植え替えるのが良いらしい。

挿した4本とも根が出た

スリット鉢の効用について

メーカーの説明

スリット鉢は、大地での根張りを鉢の中でも実現するためにデザイン設計された理想的な植木鉢です。
根のサークリング現象を防止するので、用土の90%以上を有効利用することができ、植物の生育に大きな効果 をもたらします。特殊技術のスリットが栽培ロスを減らします。
スリット鉢は根詰まりを極限にまで抑え、鉢上げの回数を最少限に減らすことが可能です。

WEB上でもロザリアンによってスリット鉢の使用を勧めている記事が多い

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ピートモス 18リットル
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水風呂にて最初の水やり

初回は土にしっかりと水を吸わせることが肝要
当分は挿し木を見守っていた同じ場所で様子を見る。

鉢上げ後の養生

ここからが勝負でもある、挿し木したポットを置いていた場所で更に一ヵ月ほど様子を見る。
 新芽が出て新しい葉が育ってきたら他の鉢植えバラと同じ日向へ移動させて環境に慣らしていく。新しい葉が出て元気に育ち始めるまで肥料等は必要ないとのこと。用土も挿し木した時に近い環境を維持するために赤玉土やピートモスなどを多めに混ぜて養分の少ない土で鉢上げするのがコツらしい。

鉢上げから2週ほど、新芽が出たものもあれば残念ながら一本が枯れてしまった。

鉢上げから1ヵ月、葉が出て育ち始めたので日向へ移動

7月、鉢上げから一ヵ月ほど過ぎたところで葉も充実してきたので日向に移動し普通の環境に慣れさせていく。定石では肥料無しで土が乾いたら潅水して見守ればいいようだ。途中、葉がしわしわになって元気がなく、調べたら水分過多の兆候があったので弱った葉を半分くらい切って一時的に土が乾き気味にした。

鉢上げから2カ月、8月4日現在の様子

一番元気のよい株はツルバラらしくにょきにょき伸びている。
秋に向けて蕾が出たらピンチするか、元気であれば咲かせてもいいかもしれない。
葉が黄ばんで栄養不足を示すようなら少なめの肥料を与えてもいいと思うが、株が充実するまでは用土に含まれる肥料で十分に足りるはず。育ち始めれば虫が付いたり病気が出なければバラは案外丈夫で成長も旺盛だ。

2022年8月31日

一株が花を咲かせた

2022年9月8日

2株目も結構立派な花を咲かせた

2022年11月8日

鉢がすぐに乾くので確認すると根が完全に回っていたので根鉢を崩さないように鉢増しした

2022年11月19日

ヒョロヒョロだが、1mくらいまで伸びた。
いかにもつるバラらしい。
先には蕾が付いている。

2023年1月8日 一株を地植えする

事前に準備していた場所に1株を地植えして軽く誘引した。

2023年1月 鉢植えの誘引

実は挿し木が3株も成功すると思っていたなかったので地植えは一か所しか考えておらず、とりあえずで鉢のまま育てることにして支柱を使って2株を誘引してみる。

2023年5月中旬の様子(挿し木から約1年)

さすがに挿し木から1年目なので花の大きさは親株に及ばないが、それなりに花をつけ楽しませてくれている。
地植えの株はあまり日当たりの良くない北向きの自転車置き場の柵に這わせているので今後の生育具合を見てゆきたい。とはいえ、地植えに勝るものなし、植え替えた株はその時点で一番成長の遅い小さなものを選んだが、一番大きく育っている。鉢植えについては5月の時点で既に水切れしやすくなっており、根が詰まっていると思う。何とか秋まで持たせて鉢増しか、地植えにするか考えねばならないかと思っている。つるバラは成長が旺盛なので植える場所と、どのように誘引して鑑賞するかよく考え、安易に手を出さない方が良いのかもしれない。チャンネル登録している動画サイトの先生方の請け売りだが、つるバラは想像以上に大きくなるので、通販で買える大きさの組み立て式アーチや2mクラスのトレリスやオベリスクに這わすには大きくなりすぎて向かないらしい。

2023年5月21日

1年目なので幹も細く、「つる」としては小ぶりな展開だが、案外立派な花を付けている。

2023年8月1日 地植えの成長が顕著

年明けに鉢増し(だけ)した2本
鉢一杯に根が張っていると思われ、水切れが激しい。
シュートも少なく生育旺盛なつるバラに鉢植えは窮屈なのかもしれない。

年明けに地植えした1株は、成長著しく、挿し木から2年目とは思えない充実ぶり。
花こそ小さめで少ないがシュートの出方や根元の太さは鉢植えとは比べ物にならない成長を見せている。
北に面し、朝日が少し、日中は薄日、西陽がやや届く場所だが葉付き、色も良いのでそのままフェンスから自転車置き場の屋根にかけて這わせることが出来そう。

2023年12月 鉢の定植や剪定・誘引

2022年に定植したものの誘引

誘引前の状態

1年ほどで驚くほど成長した「羽衣」
中之島バラ園を覗くと12月には葉を全部取って誘引してあったので、多分枝が柔らかいうちに処理しているのだと思われ、倣うことにした。

剪定と誘引

まず、葉を取り、最初の年に伸びた枝は細くて硬くなっていたので極力切った。

当初自転車置き場の屋根下に這わそうと思っていたがフェンスに止めつけてみた。
 来春以降で成長が悪ければ次の冬の剪定・誘引でリセットできるのでものは試し。

1シーズンを鉢植えで育てたものの定植と誘引

夏を過ぎたあたりから根が張りすぎて水は切れやすくなるわ、シュートがピュンピュン伸びて持て余してしまっていたが何とかダマシダマシ12月まで持たせた。

誘引の準備

葉を落とし、最初に伸びた枝は細い上に固くなっていたのでほとんど切り落とし、夏以降に伸びたシュートを残した。

植え付け

植え場所は事前に深く掘り下げ、赤玉土と完熟牛糞、堆肥を混ぜ込んで準備しておいた。普通の植木鉢だったので根はぐるぐる巻きになっていたが、株は完全に休眠しているわけではなかったので根鉢は崩さすそのまま植え付けた。

誘引

中之島バラ園を真似て誘引してみる。

挿し木ツール

親株

羽衣
ツルバラ CL1970年/日本 作出:鈴木省三

本来、語れるほどの経験年数もなく、何種類ものバラを育てているわけではないが、初心者にも育てやすく丈夫な品種だと思う。
挿し木は、成長が早く、根張りも良く、挿し木から一年でよく育ち、多分、接ぎ木の新苗に負けていない。